日曜日の夜八時からのお楽しみに、大河ドラマ「八重の桜」。4月末現在では八重が主人公というよりも明治維新そのものを会津の立場から描いている。「会津から見た明治維新」という感じ。それはそれでとても新鮮な感じがする。◆明治維新といえばどうしても司馬遼太郎の視点で見てしまう。すなわちヒーローが登場する。吉田松陰、坂本龍馬に西郷隆盛、大久保利通、桂小五郎、高杉晋作ときら星のごとく英雄がいる。あるいは新撰組もある意味英雄なのかもしれない。それら英雄を軸に明治維新が動いていく。それが普通になっていた。◆しかしこのドラマは、会津藩そのものや藩主の松平容保などの視点から明治維新を俯瞰している。例えば孝明天皇が容保のことを信頼しているところが、ことのほか綿密に描かれていたりする。あるいは八重の兄覚馬と吉田松陰、勝海舟などとの絡みがおもしろい。◆これから明治維新の佳境に入っていく。蛤御門の変から第一次長州征伐へと続く。その後、薩長同盟が成立する。(そのシーンで仲介した坂本龍馬のことを「土佐の浪人が・・」とナレーションで流れたことにはちょっとびっくり。それはこのドラマにはヒーローは必要ないというメッセージか・・)幕府軍が第二次長州征伐で破れる。大政奉還、王政復古と続く。そして戊辰戦争が没発。◆この時点で会津は賊軍となる。孝明天皇のためにつくしてきたのに、会津と薩摩の策略により賊軍となり会津戦争へと話は進む。◆そこから主人公である八重の出番が回ってくるようだ。鶴ヶ城に500人の女性たちと立てこもり、銃をもって戦った。故に後に「幕末のジャンヌダルク」と讃えられることになる。維新後は新島襄の妻となり、男尊女卑の世の中で時代の最先端を行く「ハンサムウーマン」となっていく。そして看護婦として日清戦争、日露戦争に同行して「日本のナイチンゲール」と呼ばれることになる。◆そんなドラマを私は毎週楽しみにしている。視聴率はあまり良くないらしいが、そんなことはどうでもいい、自分がおもしろいと思えたならそれで満足している。人がおもしろいと言っているから見るのではなく、自分が見ているのがおもしろいと思えればそれでいい。◆ところで明治維新の話にもどす。会津は会津戦争で破れたあと、藩士たちはどのような運命をたどったのかあまり知られていない。明治三年に一部(およそ15000人)の人たちは南部に移った。その場所を斗南藩とする。そこでの生活は農業に適さない土地ということもあり、苦難の連続であった。そして明治四年廃藩置県となる。それに伴いほとんどの人がその斗南を去っていった。◆そして現在、山口県と福島県の不仲がまことしやかに伝えられる。確かに会津がそこまで徹底的に攻められ、そして戦後もできるだけ地方に追いやる姿勢は理不尽極まりなく思う。まさに「勝てば官軍」で、長州が京都御所に発砲したことから端を発しているにもかかわらず、偽の錦の御旗をたてて官軍となり実際に勝利をつかむ。だから両県には未だに不仲説があるらしい。◆歴史に「もし」はないが・・もし幕府側が勝利していたら、福島から多くの総理大臣が輩出していたかもしれない・・・なんて考えるのも歴史を考える醍醐味かも。(ちなみに総理大臣は山口県から8人、福島県から0人です)