2013年4月号

この狭い日本の国土に空港の数は100近くあるらしい。そのほとんどが自治体が運営している。そして大半が赤字とのこと。地方空港のほとんどは地元住民の反対を押し切って行政が推し進めた。県や市町村がビジネス需要を見込んだり、野菜などの生鮮物を都会にいち早く運搬できるとしたり、様々な理由により半ば強引に開港していった。◆その結果、何がもたらされたのか?地方の県民にとってどんなメリットが存在しているのか?例えば新潟空港のこと。新潟空港は欧州からチューリップの球根を輸入する拠点として期待された。ところが冷凍技術の発達で、その輸入球根は船便に変わってしまった。かりにチューリップの球根が順調に輸入が伸ばせても、それが地元民にとってどんなメリットがあるのか?たとえ収支が黒字になっても、私たちの生活には何が関係あるのか?◆東京までいくのに早くいける、だからビジネスや観光にはメリットが大きい、かもしれない。でも実際にそこにメリットがあるのなら、現状としてかなり黒字の路線があるはずだが。◆もし赤字となったら・・・。そのときは私たちの生活に大きく関わってくる。増税という形で負担を強いられることになるだろう。にも関わらず、全く必要のないような場所に空港を作ると決断した人は今何処にいるのだろうか。その人達の責任はどう取るのだろうか?◆公共事業の中でも空港建設は特殊だと思う。一般道路や高速道路を造ったり、ダムを新設したり、新幹線を施工したり・・・公共事業の中には無駄なものがあるとわかっていても、どこかに私たちの日常に役に立っていると納得できる部分がある。ないならないでもいいが、あればあるでそれなりの存在となりうる。生活のどこかに何らかの恩恵を被る。でも空港はどうだろう。この空港ができて恩恵を被る人の数はどれだけの人なのか・・。それよりも自然破壊があり、そして騒音などの公害に悩まされる人の数の方が多いのではないのか。◆確かに建設当時には多くの雇用が生まれただろう。それなりの経済効果もあったと思う。しかし年月を経て赤字なれば、おそらくこれから閉鎖をしない限り赤字を垂れ流し続けることになるだろう。それを阻止するために民営化を進めていく方向にあるようだ。たとえ民営化を進めても、果たして黒字化となるのだろうか。コスト削減に対してはそれなりの効果があるかもしれないが、実際の需要の面からするとさほど大きな期待ができないのではないだろうか。何しろこの狭い日本だから。◆それにも関わらず、この空港建設に関する責任問題が取りざたされたという話を聞いたことがない。政治家は一時のムードで票を集め、それを民意として政治をする。地方自治体としても同じこと。民意だから正しいという前提で前進していく。しかし、この空港のようにもし失敗したら、「民意が間違っていました」といって幕引きとなる。そのときの責任追求をしないがままに・・。一時の箱物行政のように。◆私は、今、とても心配していることがある。2020年の東京オリンピックへの招致のこと。巨大公共事業が果たして正解なのかどうか?そしてその後、バブルが到来してその後に日本の経済が破綻をしたなら、そのときは誰が責任を取るのだろうか・・・・ちょっと心配しすぎなかな。